DINNER Of THE PARTY
西の空に、夕日が輝いている。
彼ら―ジューダス、メルディ、プレセア、ハロルド、ゼロスの5人―は、夕食を前に、少しそわそわしていた。
「今日もいっぱい動いたよ。メルディ、お腹がすいた〜。」
「・・・メルディさん、あなたはあまり動いていなかったはずですが…。」
「そんなこと無いよぉ。メルディ、い〜っぱい術使ったよ!」
「メルディちゃんもプレセアちゃんもケンカはやめようぜ〜。」
メルディ、プレセア、ゼロスのやりとりを妨げて、ハロルドが、
「うわー、食材、なにもな〜い!!」
と叫んだ。
「え〜、今日の夕食無し!?」
メルディ、プレセア、ゼロスは口をそろえて言った。
「・・・くだらん。」
ジューダスはマイバックの中の”非常用プリン”を探していた。
「う、ない!?」
彼のカバンの中には、1つもプリンが残されていなかった。
「ぐふ〜、今日は”闇鍋”にしましょうよ。」
ハロルドはとても楽しそう。他の人は・・・一歩後に下がっていた・・・メルディを盾にする形で。メルディは、
「メルディ、や、闇鍋いやぁぁぁ・・・」
とうわずった声で言った。
「ん〜、そうね。普通の闇鍋は面白くないわ。そうだ、宝探しに変えよう。」
「(・・・変わっていませんね。)」
プレセアは心の中でそう思った。各自、木で出来た箱に自分がもて来たメインディッシュを入れ、思い思いの場所へ隠した。
「それじゃぁ、制限時間は2時間。2時間後、ここに集合ね。自分で隠した物を取ったり、他人に聞いたらダメ。私が盗聴器&隠しカメラをみんなのどこかにつけているから、分かるわよ!? じゃ、レッツゴー!」
皆、空腹を抱えて出発した。
「・・・くだらんことを・・・。」
ジューダスはそうつぶやいた。
ジューダスは仕方がないので、静かな森の中へ入った。しばらく進むと、甘い香りがしてきた。甘党のジューダスは、においのする方へと進んだ。
「・・・! あったぞ。木箱だ・・・。」
ジューダスは木箱の方へ急いだ。
「誰がここに隠してくれたか知らないが、感謝する・・・。」
彼は木箱を開けた。が、その中には彼の嫌いな「ニンジン・ピーマンたっぷり野菜サラダ」が入っていた。甘い香りは、その中に入っていたリンゴだったようだ。
「う、誰がこんなことを・・・。」
ジューダスは仕方がなかったので、ニンジンとピーマンをどけて他の野菜とリンゴを食べて戻ることにした。
一方、プレセアは、ジューダスとは反対方面にある海岸沿いを歩いていた。彼女は重たい斧を持つので精一杯だった。それでも、死ぬよりはましだと必死で箱を探していた。しばらくすると、露店があった。プレセアは、お金は持っていなかったが、空腹のあまり、立ち寄った。
「いらっしゃい!」
露店の主の男は元気な声で言った。
「お嬢ちゃん、何を食べるかい?」
プレセアは、烏賊にも章魚にも興味はなかったので、露店の奥をじっと見て、
「あの・・・あの奥の木箱、何ですか?」
気になっていたことを言った。
「あぁ、あれかい? あれは、新鮮な食品を入れるための木箱だよ。何? 木箱を探しているのかい? 少し前に、紫色の髪の女の子が、木箱を持ってあっちの砂浜に埋めているのを見たよ。」
「え、本当ですか。ありがとうございます。」
プレセアは嬉しくて仕方がなかった。メルディが準備した食べ物にたどり着くことが出来たからだ。早速言われた場所に行き、砂を掘り返した。
「ありました・・・。」
プレセアは掘りあげた木箱を開けた。中には美味しそうな寿司が入っていた。
その食材を入れていたメルディは、ねこにんの里に来ていた。汗を流すため、お風呂を探していた。
「メルディ、お風呂が入りたいよ。ねこにんさん、どこかのお風呂、貸して欲し〜。」
メルディはねこにんに頼んでいた。ねこにんの方は、どこかで見たことがある顔だと、必死でメルディを見つめていた。
「君、もしかして、赤い髪で背の高いお兄ちゃんの仲間かにゃ!?」
メルディはすぐにその人物がゼロスだと分かった。
「はいな、仲間な〜。」
「じゃぁ、僕がお風呂に連れて行ってあげるにゃ。大浴場でOKにゃ?」
「いいよ〜。」
メルディは大浴場へと向かった。汗を流すことが出来るだけで今は嬉しかった。
浴場に入ったメルディは、
「はいな!?」
と驚いた。なんと・・・
「お食事入れた木箱が浮いてるよ!?」
そう、あの木箱が湯船の中のゆずと一緒に浮いていたのだ。ゼロスが女風呂に入れるわけがない。なのに何故ここに木箱があるのか、不思議でならなかった。
メルディは、風呂からあがって木箱の中身を確かめた。その中には、鶏の唐揚げが入っていた。メルディはそれを食べて、もう一度ねこにんに聞いた。
「ねこにんさん、その赤い髪の男の子から、この箱もらったか?」
ねこにんは、たたかれた箱を見て、
「はい、いただきましたにゃ。『可愛い女の子がたくさんいる場所において欲しい。』といわれましたのでにゃ、『お風呂でよろしいですかにゃ。』とお聞きしたところ、『それが最高だ。』といわれましたので、お風呂のゆずと一緒に浮かべておきましたにゃ。」
「そっか、ありがとうな〜。また会えると良いな〜。」
メルディはそうねこにんに言って、ねこにんの里をあとにした。
ゼロスは食事を探すのにそこまで苦労しなかった。木箱はすぐに見つかったのだ。なぜなら、「関係者以外開封禁止」とかかれたそれっぽい木箱が道の真ん中に落ちていたからだ。ゼロスは、その文字がハロルドの字そのものだったので、すぐに木箱を道の端に持っていき、中のパンを手にすることが出来た。
皆は、一時間と少しの時間で食事を済ませ、戻ってくることが出来た。待ち合わせの場所に戻ってくると、ハロルドが釜戸でたいたご飯でカレーを作って完食していた。
「ハロルドさん、もしかして、食材残っていたのに、このようなことをさせたのですか?」
皆が帰ってきたことに初めて気がついたハロルドは、飛び上がった。
「ぐふふ〜、お帰りなさい・・・。食材、よく探したらあったのよ。でも、みんなが出発した後だったし、もう、一人で食べちゃおうかと・・・。」
「・・・。食材の無駄だ。」
その後、しばらく矢の先はハロルドに向けられた。皆は、手や足を出してハロルドへの怒りをぶつけた。
「もう・・・ごめんってば。本当にごめんって・・・。」
その後の食事は、ハロルドの分まで作ってもらえなくなったという。形式上は許しても、本当に空腹を抱えて食事を探し回ったことは忘れない、といった感じで、他のメンバーはハロルドを村八分状態にする日々が続いたという。
―END―