答えたい、答えられない。
難しくなんて無いのに、けれど、この回答を、
肝心のその相手に読まれる可能性が皆無だとはいえない。
チクン
胸が痛む。
大事なものを見つけたそのときから、ズキズキと、胸が痛む。
見つける前から、身体は痛んで、痛くて、苦しかったのに、その場所はわからなかった。
大事なものが何なのかがわかった時から、
今度は前とは比べ物にならないほどに、胸が痛み出した。
一人で感じる孤独が、凄く好きだった。
そこへいつも邪魔しに来る、あの人。
何時しか、その人が好きだと気づき、今度は、
二人で居るのに孤独を感じるようになった。
その孤独が、苦しくて、苦しくて、酷く、辛い事に思えた。
痛い 苦しい 痛い
好きです
だから、どこか、どこにもない場所へと、行きたくなった。
できない事だと解っているのに、あの人と居ると、胸が苦しくて、死にたくなる。
消えてなくなりたくなる。
ゆっくりと、筆をインクに浸す。
問49:はいと答えた方のみ、答えてください。
その恋は難しいですか?叶いそうですか?
もし、よろしければ、相手のお名前をご記入ください。
答:とても、とても、難しいです。叶いそうには有りません。
むしろ、伝えずに、其の侭の関係を崩さずに側にいたい。
名前だけを記入せずに、最後の問を読み出す。
問50:幸せですか?
はい。
それで、アンケートの問はお終い。
なのに、アンケートとは別の紙がアンケートの裏に貼り付けてある。
「何だ…コレ」
本日二度目の何だコレ。
そう思いつつ、声に出しつつ、2枚目に目を通すと、ふいに、涙が溢れ出した。
ソレは決して、悲しくて零した涙じゃなくて、それはとても、とても綺麗な涙。
50問目の問にははいと答えた。答えを書く指は、少し震えていた。
ソレはけして、イヅルが幸せと感じていない訳じゃなくて。
幸せは、イヤと言うほどに感じているのだ。
イヤと言うほど感じていて、それでも、指が震えた。
まるで、物足りない。そう訴え続けている胸のうちに答えるかのように。
物足りない。
何時からだろう、そう感じ始めたのは。
そう、遠くない昔。凄く近い。
物足りない。その思いを胸の内に閉じ込めたのは、イヅル自身の意思。
物足りないなどとは思っちゃいけないほどに、よくしてもらっている。
なのに、本当は、もっと、もっと、と距離をおかないと
手を伸ばしてしまいそうになるほどに。
「市丸隊長っ!!」
2枚目に目を通したとたん、溢れ出した涙を必死で拭い、立ち上がると
即座に部屋から飛び出し、大声で市丸の名を呼ぶ。
「隊長っ」
回答は帰ってこない。けれど、それでも呼びつづける。
今、言わなきゃ後悔する事なんだ。
「市丸、隊長っ!!」
「ココに、おるよ」
3度目の呼び声に、返事が返ってくる前に、背後から抱き込まれた。
暖かい。ソレが一つ目に感じた事。
幸せだ。2つ目に考えた事。
物足りないと訴える胸の声を、満たしてくれるその腕の持ち主のその行動、その声。
「ココに、おるから」
少し、力を込められたその腕が心地よくて、イヅルは其の侭ぎゅっと、
自分の身体を抱きしめている腕に自分の腕を絡めた。
今なら伝えられる。頭はそう思っている。
けれど、今はもう少しばかり、この温もりの中に実を収めて居たい。
そう思うと、今日の仕事が少し遅れても構わないかもしれない。
そんな思いさえもが浮かんだ。
思いがけない行動。
それをとるのが、この男、市丸ギン。
束の間、その事を忘れ、微塵の警戒も忘れていると、
いとも簡単に市丸にその身体は抱き上げられてしまった。
「暴れんといて。暴れても、ボク、それなりに力あるから無駄やし」
おろして下さい。
そう言おうとした、その瞬間にかけられたその声は、綺麗で、少し、澄んでいて。
だからかもしれない、イヅルが今日は声を張り上げないのは。
顔が見たい。
そう思うものの、その顔は見えない位置にあって、
なのに、何故だか彼が微笑んでいる、そんな気さえしている。
根拠の無い確信。
けれど、イヅルのソレはそれなりに当たるもので。
だから、こっそり、ばれないように、目的地に着くまでに、この涙を枯らせてしまおうと、イヅルは一人、市丸の腕の中で静かに涙を零した。
口元に笑みを浮かべながら。
紙に書かれていた文字は、有り得ないほどに心の中を、胸の内を満たせてくれた。
アンケート形式のあの紙。
アレは、本音は少しばかり、不器用な彼が取った手段。
自信の無いボクへの切符。片道だけの。
「本音を教えて。ボクはまっとるから。
できるだけはよぉしてな。ボクから動く前に。
大丈夫やで?ボクの答えは、可やから。
せやから、はよぉ、
ボクだけのイヅルになって」
小さな字で書かれていた、その文章が、どれほど僕の心を満たさせてくれたか、知っていますか?
僕は、貴方の為にならなんだってできる。
貴方といれれば、僕はこれまでに無いほどに幸せです。
だから、まっていてください。
もう少しで 貴方だけへ向ける笑みをあげますから。
好きです。
…えへ。
一応ハッピーエンド。
しあわせーなイヅルが書きたくて。
後半まで全然幸せじゃない気がするけどもね…。
初の30分で仕上げた小説ですよ
の割には長い…。
でもね、実は違うんですよ。
何が違うって、コレ、読み終わった後に浮かべるのは、
二人とも両思いになったって、所ですよね?
本当は別なんです。
はぴねすは、別のお話に使いたかったタイトル。
実は、冒頭、その話しかくき満々でした。
なーのに、変っちゃったんですよね。
なぜかしら?
まあ、その話はまた今度の機会に書きますね。
因みに、別の話しではまだ、両思いじゃないです。
イヅルは自分の気持ちに気づいていますけどね(笑)