死神ヲ 憎ム
ボクのエゴでしかないけれども
憎い
憎いんだ
+まるで蝶+
目の前が霞む。
まるで、なにかしら、フィルターがかかってしまったかのように。
目の前が真っ白になったわけではない。
何も見えなくなったわけでも無ければ、どこかが可笑しくなった訳でもない。
可笑しいのは、その白く、ぼやけて見えるのが背景だけだという事なのだが。
辺りには ひらり
ひら ひら
真っ赤な紅葉が風に舞う。
一片の、黄色く色付いたイチョウの葉も舞う。
ひらりとひらひら、紅葉は捕まえられる事を拒むかのように、逃げ惑うかのように、風に舞い続ける。
その姿は美しくて、なのに、無償に憎くなる。
イチョウは紅葉に近づきたそうで、触れたそうで。
そんな事が有るわけも無いのに、イチョウと紅葉は触れ合う事も無く、其の侭地面へと落ちる。
一つ、葉が落ちても、風が吹くたび、ヒラリ
綺麗
その言葉が良く似合うこの風景、今この時。
捕まえたい
そんな衝動にかられるも、そんな事は許されるわけもなく、雨竜にそんな力があるわけでもない。
「石田?」
ふと、何て事無く振り向いた一護。その一護の行動、声、表情、仕種
「あ……」
それが無償に綺麗で、思わず声を無くす。綺麗だという言葉が、この男に似合うわけも無いのに、なのに、どうしてだろう。そのオレンジの髪も、淡いブラウンの瞳も、薄く色付いた唇も、何もかもがこの景色に似合って、ああ、なんて綺麗なんだろう。
そう思わずにいられない。
雨竜はそのまま、数秒、身動きが取れぬほどに、その景色と、その男に見惚れていた。
頭の中にはザーと、ノイズにも似た音楽が奏でられ、頭痛を引き起こされるかのような、そんな錯覚さえ起こしてしまいそうになっていた。
頭が痛むわけではない。
なのに何故か、何か、不快感が頭を、否、身体中を舐め回すかのように這い回る。
目の前が霞む。
ノイズとフィルター。
なのに、紅葉とイチョウの葉と、彼の姿ははっきりと見え、ノイズに交える彼の声は澄んで聞こえて、頭に響く。残る。
一護は少し、おかしな雨竜の様子に微かに首を傾げはするものの、石田が可笑しいのはいつもの事か。妙に納得してしまう。
「なあ、石田」
軽く口端を上げながら一護は雨竜の事を呼ぶ。
「綺麗だよな」
「…え?」
「紅葉だよ、バーカ。すげぇ、綺麗だよな」
ああ、何て容易く侵入されるんだろう。
全ての音が消える。そんな錯覚を覚える。
頭の中で流れ続けていたノイズも、彼の澄んだ声も、葉の擦れる音も。
全ての音が消える。
届かない。
目の前が真っ白になった。
なのに、彼の姿は妙にはっきりと。
「っと…」
ふと時計に一護が目を寄せると、時刻は7時、少し手前。
「石田っ!!」
「な、何だ」
いきなり怒鳴る一護の声に、雨竜は驚き、はっとする。
意識は覚醒したのに、やはり、その声に聞き惚れる。
そんな馬鹿な。
「門限だ。やばい、遅れる…」
冷や汗を少しばかり掻きながら一護は駆け出す。
遅れるんじゃない。
手遅れなんだ。
クスリと笑みを浮かべると
「ああ…」
一護の後を追うかのように、駆け出した。
目が痛むほどに眩しくて、でも触れたくて。
赤を強調するソレに引かれるイチョウのように
一護の全てに心引かれて
ひらり
ひら ひら
逃げ惑う様は赤いアゲハのよう
ひらひらと 舞いつづける紅葉が捕まえたくて
憎み続ける死神が
逃げ惑う 死神が
決してつかまる事の無い 黒アゲハのような死神が
…ホシクテ
初めて☆な雨竜→一護。片思いです。一護は浦原ラブなんで。
なんだか、ノッテ書けました。そりゃもう、スラスラと。
の、わりに、表現少なめ、キモチばかりな文面。
今回はそれなりに読みやすいのでは?と、思うんですけど、如何でしょうねえ?
「まるで蝶」内では、雨竜は一護が好きでどうしよう?な、感じですけど、個人的にはその後、
石田×井上に発展します。
でもね、発展するのはいたってOKなんですけども…どう約せばいいんでしょうね?このカプ。
わからないです…。